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​近年の研究内容  塩崎修志

野生ブドウ資源を活用する
 
 世界で利用されているブドウの多くはヨーロッパ種と北米種であり、日本を含む東アジア種の利用は限られます。
世界のブドウ栽培において、地球温暖化の進行により、果実の着色不良など品質低下が問題となっています。
野生種は、着色が良好で、機能性成分を豊富に含むなど有用な特性を示し、ブドウ品質の改善に寄与する可能性があります。
日本に自生する野生種の資源としての有用性を評価し、育種資源としての利用ならびに栽培・繁殖や利用技術の開発を目指します。
特に、近年では南西諸島に自生するリュウキュウガネブの有用性を検討しています。
 1、資源としての評価
  1-1) 
    野生ブドウは、葉や花房などの形態が個体により異なります。 有用な個体を選び出すために、形態的特徴と果実品質の関係を
    明らかにする必要があります。
    葉のサイズや形と果実のサイズや成分さらには雌雄性との相互関係を明らかにすることを検討しています。
 

 

カベルネ・ソービニヨンの葉                 リュウキュウガネブの葉は、カベルネ・ソービニヨンの様に裂刻は発達しておらず、個体によってサイズや形が異なります。

​  1-2)

    野生ブドウは、栽培品種とことなり雌雄異株です。雄の有用個体を選抜するために、花にサイトカイニンを処理し雌化し

    果実の形質を比較検討しています。

​2) 資源的価値の強化

  ブドウには、抗酸化活性を示す機能性成分としてポリフェノールの一種であるレスベラトロールが含まれます。

  未熟なブドウ果実では、UV-Cなどを果粒に照射すると、どんなブドウでもレスベラトロールは増加します。

  リュウキュウガネブでは、未熟期だけでなく成熟期にもUV-Cに反応して、レスベラトロールが増えます。このことは、収穫後

  に機能性成分を制御しやすいことを示します。しかし、UV-Cを果房や果粒に照射するのは時間とコストがかかります。

  そこで、緑葉揮発成分を処理しレスベラトロール含量の制御を検討しています。

​3) 利用方法の検討(ワイン開発など)

  野生ブドウは果粒が小さく、生食には不向きです。しかし、機能性成分を豊富に含む有用資源です。

  ブドウを原料とした加工品といえば、ワイン!

  醸造方法の検討や、機能性成分が豊富に含まれるワイン醸造の検討を行っています。

  また、果実の食品加工原料への応用や果実と葉のエキスの化粧品への応用なども検討しています。

​4) 野生ブドウを活かした新品種育成

  野生種を酒質資源として直接利用するだけでなく、ヨーロッパ種と交配し、新品種の育成を検討しています。

  ワイン用黒ブドウも、気候温暖化により着色が問題となっています。着色が良好なうえ、機能性成分を人為的に制御可能な

  品種の育成を目指します。

   リュウキュウガネブの交配種             クマガワブドウの交配種

​5) 繁殖や栽培方法の検討

  ・採取した野生ブドウは、利用するにはまず増やす必要があります。クマガワブドウは絶滅危惧種ですが、他のブドウと異な

   り、挿木からの発根が悪く挿木繁殖が難しいブドウです。挿木発根の改善策を検討しています。

  

  ・栽培管理の容易な仕立て方の検討や野生ブドウの種無し栽培も検討しています。

    野生ブドウは、病害には強いのですが、副梢の発生が旺盛なものがあり、栽培には少し工夫が必要です。

    野生ブドウは雌雄異株ですが、♀の花はジベレリンを処理しても単為結果(種無し果実の着果)し難いものがあります。

    他の栽培品種にも、ジベレリンの効果の低いものがありますが、単為結果が困難な理由が解れば、他の品種の無核化に

    役立つかもしれません。

  

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